「これほど疲れているのだから、体の状態を表す数値も悪いはず」
今振り返れば、そう考えるのが自然な時期でした。
睡眠不足と慢性的な疲労が続き、仕事中は常に頭をフル回転させている状態。
仕事が終わるころには、気力も体力も残っていませんでした。
当時の私は、Oura Ringのスコアを詳しく見る余裕さえありませんでした。
ところが、後から約4年分のデータを並べてみると、意外な結果が出ました。
今回は、次の2つの時期を比較します。
- 定期的な運動習慣があった時期
- 仕事に追われ、運動できなかった時期
比べるのは、Oura Ringに表示される3つの総合スコアです。
- コンディションスコア
- 睡眠スコア
- アクティビティスコア
生活も体感も大きく違っていたのに、なぜ総合スコアには大きな差が出なかったのでしょうか。
結論|総合スコアだけでは、疲れ切った状態は見えなかった
仕事に追われていた時期は、運動習慣があった時期より、3つの総合スコアがすべてわずかに高くなっていました。
毎日限界を感じていたころのほうが、Ouraのスコアは悪くなかったのです。
しかし、これは「実際には疲れていなかった」という意味ではありません。
Ouraの総合スコアは、複数の数値を組み合わせて算出されます。
睡眠時間が短くなったり、運動できなくなったりしても、ほかの数値が保たれていれば、総合スコアは大きく下がらない場合があります。
私のデータでも、歩数や睡眠効率など、スコアを支えていたと考えられる数値がありました。
総合スコアは体の状態を知る手がかりになります。
ただし、その数字だけで、疲労や生活の余裕まですべて判断できるわけではなかったのです。
生活は大きく変わったのに、スコアはほぼ同じだった
2つの時期の平均スコアを比べた結果です。
| 指標 | 運動習慣があった時期 | 仕事に追われていた時期 |
|---|---|---|
| 平均コンディションスコア | 約78 | 約79 |
| 平均睡眠スコア | 約80 | 約81 |
| 平均アクティビティスコア | 約90 | 約92 |
すべてのスコアで、差は1〜2点です。
数字だけを見れば、2つの時期で体の状態はほとんど変わっていないように見えます。
アクティビティスコアに至っては、運動できなかった時期のほうが高くなっていました。
しかし、実際の生活はまったく違います。
運動習慣があったころは、自分が好きで体を動かしていました。
仕事に追われていたころは、大好きだった運動に興味を持てなくなるほど、気力も体力も失っていました。
歩数が同じくらいでも生活の中身が違っていたことは、同じ1万歩でも体の状態は違った記録でも振り返っています。
睡眠時間は短くなっても、睡眠スコアは下がらなかった
睡眠に関する数値を詳しく見ると、次のような違いがありました。
| 指標 | 運動習慣があった時期 | 仕事に追われていた時期 |
|---|---|---|
| 平均睡眠時間 | 約6時間40分 | 約6時間20分 |
| 平均睡眠効率 | 約89% | 約93% |
| 平均覚醒時間 | 約50分 | 約29分 |
| 平均睡眠スコア | 約80 | 約81 |
仕事に追われていた時期は、平均睡眠時間が約20分短くなっていました。
一方で、睡眠効率は約4ポイント高く、夜中に目が覚めていた時間も短くなっています。
Ouraの睡眠スコアは、睡眠時間だけで決まるものではありません。
睡眠効率や入眠までの時間、途中で目が覚めていた時間なども含めて算出されます。
そのため、睡眠時間が短くなっていても、ほかの数値によって平均睡眠スコアが保たれていたと考えられます。
ただし、睡眠効率が高いからといって、十分に眠れていたとは限りません。
短い時間で眠り続けられていても、睡眠時間そのものが足りず、起きたときから疲れている日がほとんどでした。
総合スコアだけを見ていたら、その違いには気づきにくかったと思います。
運動できなくても、アクティビティスコアは高かった
活動に関する数値にも、同じようなことが起きていました。
| 指標 | 運動習慣があった時期 | 仕事に追われていた時期 |
|---|---|---|
| 平均歩数 | 約11,000歩 | 約11,300歩 |
| 高強度活動時間 | 約29分 | 約17分 |
| 平均アクティビティスコア | 約90 | 約92 |
仕事に追われていた時期は、負荷の高い活動時間が約12分減っています。
それでも、平均歩数は約300歩増え、アクティビティスコアも高くなっていました。
当時は定期的な運動をしていませんでしたが、駅までの移動、電車の乗り換え、職場までの徒歩がありました。
Ouraには、好きで取り組んでいた運動も、通勤のために歩いた移動も、体を動かした記録として残ります。
歩数が保たれていたことが、アクティビティスコアが下がらなかった一因と考えられます。
しかし、私にとっては同じ「動いた」ではありませんでした。
好きな運動で気分転換できていた生活と、疲れ切った状態で通勤のために歩いていた生活では、体感がまったく違いました。
スコアが悪くなくても、自分の疲れを否定しなくていい
体はつらいのに、ウェアラブル端末のスコアは悪くない。
そのような日が続くと、「数字は悪くないのだから、自分が疲れに弱いだけなのか」と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、総合スコアと体感が一致しないことはあります。
そのときは、総合点だけで判断せず、次のように数値の中身を見たほうが分かりやすくなります。
- 睡眠スコアだけでなく、実際に何時間眠れていたか
- アクティビティスコアだけでなく、どのような理由で動いていたか
- 1日の点数だけでなく、同じ状態がどのくらい続いているか
- 数字だけでなく、自分が疲れていると感じているか
すべてを毎日細かく確認する必要はありません。
本当に疲れているときには、データを見る余裕さえなくなるからです。
ただ、「数字が悪くないから大丈夫」と、つらい体感まで打ち消す必要はありません。
スコアと体感が合わないと気づくだけでも、自分の状態を捉え直すきっかけになります。
まとめ|スコアが悪くなくても、回復しているとは限らない
今回、運動習慣があった時期と、仕事に追われていた時期の数値を比べ、次のことが分かりました。
- 仕事に追われていた時期は、運動できなくなり、疲労感も強くなっていた
- コンディションスコア、睡眠スコア、アクティビティスコアの平均差は1〜2点しかなかった
- 睡眠時間は短くなっていたが、睡眠効率は高くなっていた
- 負荷の高い活動時間は減っていたが、通勤によって歩数は保たれていた
- 一部の数値が高かったことで、総合スコアが大きく下がらなかったと考えられる
この結果が示していたのは、当時の疲れが軽かったということではありません。
睡眠効率や歩数などが総合スコアを支える一方で、睡眠時間は短くなり、好きだった運動ができないほど体力も気力も失っていました。
Ouraは、睡眠や心拍、活動など、測定できる数値をもとにスコアを算出します。
しかし、仕事中の緊張や、頭を使い続けた消耗、好きなことに興味を持てなくなった状態が、そのまま点数になるわけではありません。
総合スコアは、「大丈夫」を保証する数字ではなかったのです。
もしスコアが悪くなくても、起きたときから疲れているなら、その体感を数字で打ち消す必要はありません。
私が約4年分のデータから分かったのは、「スコアが悪くない」と「回復できている」は同じではないということでした。
大切なのは、スコアだけで自分の状態を決めるのではなく、数値の中身を体感と重ねて見ることだと思います。
Ouraの数値に振り回されず、自分の体感とどう合わせて見るかは、Oura Ringに振り回されない使い方|40代のためのデータとの距離感にもまとめています。
次の記事では、HRVが低かった日と高かった日で、睡眠時間にどれくらい違いがあったのかを約4年分の記録から振り返ります。

